見積書の作り方

Web制作系の専門学校では、見積書の作り方や、交渉の仕方を教えてくれません。

制作会社に入社して、フリーランスとして独立して、見積書でつまづいている方も多いのではないでしょうか?

  • 見積書ばかり作っていて、なかなか受注出来ない。
  • 制作のたびに、修正がかさんで工数赤字になっている。

こんな悩みを抱えている方も多いでしょう。

筆者も15年以上、Web制作の見積書を作り続けて、損をしたことも多いですし、悔しい思いをしたことも多々あります。

それは現在進行形でもあり、日々色々な顧客と向き合って、模索しています。

ただ、抑えるべきポイントはしっかりと抑えているつもりです。

見積書はポイントをきちんと押さえれば、損することもないですし、後で揉めるリスクも少なくなります。

見積書ひとつで、受注率を上げることもできるのです。

そこで、今回はWeb制作の見積書で、損をしないためのポイントを紹介したいと思います。

これからWeb制作業界でフリーランスとして独立したい、会社を起こしたい、という方は是非参考にしてみてください。




単価は必ずページ数で。ページ数が曖昧な場合は工数で出す。

よくデザインの見積書で「一式」など曖昧な算出の仕方は、顧客に嫌がられます。

なぜかというと、実際に何をどこまでしてくれるのか分からないという不安を感じさせるからです。

実際に、制作会社の見積書の内訳が分かりにくい!という声はよく聞きます。

顧客にとって曖昧な単位の見積りは、次の依頼を出しにくくします。

作業内容が明確な見積りだと、他の作業を依頼した際に、顧客の方でも費用感を予測できるので、次の依頼もしやすくなります。

ですので、Webサイトですと、ページ数できちんと計算しましょう

ページによってレイアウトが異なるので、ページ数では算出しにくいのは分かります。

ですが、顧客から見ると、Web制作の場合はページ数で明確にして算出して欲しい、というのが本音なのです。

ページ数がざっくりしていたり、ページのレイアウトによって難易度が変わる際には、CSS設計作業などを別に工数算出することで、人日の作業とページボリュームを分けて、顧客が理解してカウントできるような項目分けをしておきましょう。

継続して顧客から仕事をもらうには、わかりやすい、明朗会計でないといけません。

ページのカウントの仕方には必ず条件を付ける。

ページのカウントを明確にする、と言いましたが、ページのカウントで一点注意です。

1ページといっても、最近ではスクロールしてかなり長いページが増えています。

ですので、たとえばコンテンツがA4サイズで1ページとカウントするなど、ページカウントの方法をきちんと定義しておきましょう。

筆者の経験で、何の条件もなく1ページと言ったら、費用削減のために、ながーーーい巻物のようなページ構成を出してきた、代理店もいたので、きちんと条件を設定することは大切です。

作業内容は面倒でも細かく項目を分ける。

顧客が納得しやすい、社内で稟議を通しやすい見積書は強いです。

相見積もりになっても、勝ちやすいです。

現に、筆者も相見積り案件で、最低価格の制作会社より高い価格で受注したことは何度もあります。

筆者が受注した理由を聞いてみると、項目が細かいので分かりやすいし、安心感があるという感想が非常に多かったです。

中には見積りに感動してくださった顧客もいるくらいです。

分かりやすい見積書は、ずばり作業項目が細かい見積書です。

項目を細かく分けると、金額が大きくなってしまったから、この項目は次回に回そう、など顧客の方で作業の優先度を検討できます。

相見積は値段だけでなく、分かりやすさが一番大切。

相見積りは、値段勝負だと思っている人も多いと思います。

しかし、担当者の受けが良い見積書は、値段よりもとにかく分かりやすいことです。

分かりやすい見積書を作るということは、その後の制作への取り組み姿勢への印象にもつながります。

単純に安いけど、いまいち何をしてくれるのかわからない。
本当に発注しても大丈夫なのかな?

と心配になるような見積書では、いくら安くても受注を勝ち取ることは難しいです。

作業項目を細かく分けるのは、時間がかかりますし、かなり面倒な作業です。

しかし、その面倒な作業で受注の明暗が分かれるのです。



閲覧環境、デザイン案の数、修正回数などの制作条件を必ず明記する。

見積書に制作条件を記載しない方もいますが、これは必ず明記しましょう。

もちろん、別紙でもよいですが、見積書を作成する段階で必ず条件を設定してください。

受注して、要件定義の時点から、制作条件や仕様を詰める場合もありますが、ブラウザ環境や修正の回数など、見積時点でわかること、自社の制作ポリシーで決まっている条件は見積もり段階できちんと提示しましょう。

後になってから、仕様や閲覧ブラウザなどの条件で揉めることもあるので、きちんと明記することが大切です。

デザイン案の数や修正回数もきちんと明示しましょう。

デザインに関しては、感性が顧客と合わないと、出来るまで何度でも作らされることもあります。

ですので、自社の実績をきちんと確認してもらったうえで、何案デザイン案を制作するのか、修正回数は何回まで受け付けるのか、を明記することは、自分たちの身を守ることにも繋がります。

Webの時代だと言いつつ、印刷物文化は根強い。

今はWebの時代だ!Webで自社をPR!なんて言いながら、Webサイトを全部印刷してチェックをする、なんていう印刷文化はまだ根強いです。

(たしかに紙面でチェックするとチェックの精度は上がるんですが)

そこで、印刷した際にWebサイトがそのまま印刷されない!

なんていうクレームが発生することもあります。

最近のブラウザでは、背景が設定しないと印刷されないことが多いです。

こういう背景を知らない企業の担当者も多いので、印刷対応など細かいことも制作条件に入れておきましょう。

見積書を作っている時間など、間接工数もきちんと計上する。

制作費というと、たいていの方は、実制作にかかる工数しか良しとしません。

しかし実際には、ヒアリングや見積り作成などにかかる、見えない工数が発生しています。

ディレクション費に関しては、顧客からは見えにくい、謎の項目に映る場合もあるので、きちんと説明することも大切です。

何も説明しないで計上すると、「このディレクション費って何?何してくれるの?」なんていう突っ込みをしてくる顧客もかなりいます。

制作の見積りにおいては、間接的な作業について、顧客の理解を得るのが難しいことも多いです。

しかし、見積り作成や顧客とのメールや電話のやり取り、打ち合わせなどの間接的な工数はばかになりません。

顧客に取って見えない工数であっても、きちんと計上して、顧客の理解を得られるよう、きちんと説明できるよう、見積り担当者は頭の中で説明を用意しておきましょう。

値引きには必ず条件を付ける。

制作において、値引き交渉は避けては通れません。

あの手この手で、顧客は値引きを迫ってきます。

よく、値引きの交渉で「次の案件もあるので」とか「まだ振れるお仕事いっぱいあるので」なんていう事を言って、次の案件をちらつかせながら値引きをさせようとする顧客がいますが、そういう顧客に限って、次の仕事なんてまずありません。

毎回そういうことを言いながら、制作会社をとっかえひっかえしているのです。

「今後のお付き合いもあるので」などという曖昧な確約のない条件で値引きを行っていると、毎回安い金額で受注して、その後はぱったり音沙汰なし、なんて言うことになりかねません。

値引くことで、受注の角度を大きく上げられることは事実です。

ですので、値引きは悪だ、とまでは言いません。

初回で値引くにしても、必ず条件を設定しましょう。

一番良いのは、請求や支払いなど、制作会社にとってリスクになる部分で。

制作というのは、案件毎に人件費の持ち出しになります。

たいていのWeb制作案件は、一ヶ月かかるとすると、支払いは納品月の月末からさらに60日とか30日後、ですので2ヶ月分くらいの人件費は、持ち出しになるのです。

大きな案件になると、さらに持ち出しの人件費は広がります。

最終的に回収できるとしても、社内留保がないと、かなり経営的には厳しくなります。

ですので、値引きの条件としては、値引く代わりに受注した月に必ず請求させてもらう、または支払いを分割していただく、など支払いに条件を付けると、制作会社にとってのリスクヘッジになり、値引きのメリットが多少なりとも生まれてくるのです。

修正回数やデザイン案などの、制作条件で交渉する方もいますが、制作を進めていくうちに、曖昧になったりするので、支払い条件で交渉するのが、筆者の中では一番適切だと思っています。

工数を調整して値段を下げることはお勧めできない。

制作の工数を下げて、金額を調整する方もよくいます。

しかし、これはお勧めできません。

制作するボリュームは変わらないのに、工数だけを下げて全体的な費用を調整すると、工数赤字が発生しますし、なにより工数に対しての信用度が下がります。

顧客にとってみても、要求すれば下がる工数であれば、「もっと下がるんじゃないか?」「そもそも今の工数は高く盛られているのではないか」と、顧客の不信感にも繋がります。

制作会社としても、ちょっとレベルが低く見られる要因にもなりますので、工数調整はお勧めできません。

振り込み手数料は誰が負担するのかを確認する。

制作費の振込みの際に、振込み手数料を引かれることが多くあります。

実際に入金管理などをしたことがない方には、ピンと来ないかもしれませんが、請求した制作費がそのまま満額入金されないこともあるのです。

特に代理店からいただく、二次請けの案件に多いのですが、振り込み金額をきっちり引いた金額が入金されるのです。

基本的には、家賃でもなんでも、振り込む側が手数料を負担することが一般的ですが、制作業界においては、振込み手数料は、支払われる側が負担することも多々あるのです。

ですので、最初に契約で制作会社が負担する場合は、予め見積りのどこかに、手数料分を計上しておきましょう。

特に契約書を持たない会社も多いので、振込み手数料をどちらが負担するのか、最初にきちんと確認しておくことは大切です。

数百円の細かい話ですが、ビジネスですので、細かくきちんと確認しましょう。




とにかく早めに提出して、交渉の土俵に上がる。

最後に、見積書を提出するタイミングです。

見積書が出てくるのが早い制作会社は、それだけで良い印象を与えます。

相見積であれば、とにかく一番乗りで見積書を提出するくらいの気持ちで作成しましょう。

顧客は、一番最初に見積書を提出してくれた会社に、分からないことや不安なことを相談する傾向にあります。

最初に確認すると、他の制作会社に確認することはありませんし、最初に親身になって相談に乗ってくれた制作会社は、なんとなく親近感も沸きます。

筆者の経験上、すぐに見積りを出して、最初にWebサイト制作の不安な部分などをヒアリングすると、担当者の方は一番押ししてくれることが多いです。

「他の制作会社さんがかなり安く出して来てて、個人的には御社に頼みたいんだけど、もうちょっと何とかなりませんかね?」

など、受注角度の高い交渉を受けられる、土俵に上がることができるのです。

相見積は、まず交渉の土台に乗ることが重要です。

「あ、高いからいいや」と交渉の土俵にも上がれないと、見積りの作り損になります。

Web制作の営業マンで、とにかく毎日のように見積書を作りまくって、山のような失注をする方がいますが、そういう方に限って、見積書が遅くて高い!ということが多いです。

社内承認が遅いなど、担当者レベルではどうにもならないことも多いと思いますが、できるだけ早く提出できるよう、心掛けましょう。

見積書を提出したら、必ず一報入れる。

見積書を提出したら、1日か2日置いてから、必ず先方に不明点などのヒアリングをしましょう。

メールで提出して、後は待つだけ、ではいけません。

口頭で話を聞くだけでも、相手の印象はかなり変わってきます。

制作は信用商売です。

デザイン力や技術力も大切ですが、一緒になって作り上げていくうえで、信頼と安心感が一番大切です。

この制作会社であれば、安心できそう、進めやすそう、という印象を持っていただくことが、受注への一番の近道です。

****

制作の仕事というと、作ることや実績に重きが置かれます。

しかし、最初に提出するのは提案書か見積書です。

Web制作の仕事は、取りあえず相見積で見積書を集めて検討する、という顧客が多いです。

コンペ案件などは別ですが、ちょっとしたコーポレートサイトなどは、いきなり相見積という企業も多いのです。

ですので、見積書をきちんと作ることは、会社の印象すら左右するのです。

見積りへの考え方は、制作会社によって異なりますが、筆者の経験を踏まえたうえで、良いと思われる見積書の作り方を紹介しました。

これから見積書を作る方、見積書の作り方がよく分からない、という方の参考になれば幸いです。

にほんブログ村 転職キャリアブログ 転職・転職活動へ にほんブログ村 転職キャリアブログ 求人・採用へ にほんブログ村 転職キャリアブログへ